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ChatGPT経由の情報漏えいはどう起きるか——中小企業で現実的なパターンと対策

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「ChatGPTに入力した情報は漏れる」——この言い方は、半分正しく、半分不正確です。何がどの経路で問題になるのかを分けて考えないと、対策は「とにかく禁止」か「たぶん大丈夫」の両極端に振れてしまいます。

本記事では、中小企業にとって現実的な漏えいのパターンを整理し、優先順位をつけた対策を解説します。

パターン1: 学習利用への不安——実態と設定

もっともよく語られるのが「入力内容がAIの学習に使われ、他人への回答に出てくるのでは」という不安です。主要なAIサービスには、入力データを学習に使わせない設定や、法人向けプランでの学習不使用の契約条件が用意されています。まず確認すべきは、自社の利用が「どの契約・どの設定で」行われているかです。

ここで重要なのは、個人アカウントの無料利用では、こうした設定の確認も統一もできていないことが多い、という点です。「学習に使われるか」の議論の前に、「自社の利用条件を会社が把握しているか」が先に来ます。なお「学習に使われない設定なら何を入れてもよい」とはなりません。次のパターンが残るからです。

パターン2: アカウント侵害と履歴の放置

AIサービスの会話履歴には、過去に入力した業務情報がそのまま残っています。つまりAIアカウントは「業務情報の保管庫」になっており、パスワードの使い回しなどでアカウントが第三者に取られれば、履歴ごと閲覧されます。

個人アカウントでの業務利用が危険な理由がここにあります。会社はそのアカウントの認証強度を管理できず、退職後に履歴を整理させることもできません。フィッシングで盗まれた認証情報が売買される時代に、「会社の見えない場所に業務情報の保管庫が増え続ける」状態は、それ自体がリスクです。

パターン3: 共有・公開機能の誤用

多くのAIサービスには会話を共有リンクにする機能があります。社内で「このプロンプト便利だよ」と共有したつもりのリンクが、顧客情報を含む会話ごと、リンクを知る誰もが見られる状態になっていた、という形の露出は、操作ミスひとつで起こります。設定の既定値や仕様はサービスの更新で変わるため、「一度教育したから大丈夫」とは言い切れません。

パターン4: そもそも「入力してよい情報」が決まっていない

最後のパターンは、漏えい経路というより漏えいの入口です。顧客名、見積金額、個人情報、ソースコード——何をAIに入れてよいかの線引きがなければ、社員は毎回自己判断で入力します。この状態では、上の3パターンのどれが起きても被害範囲を特定できません。「誰が・いつ・何を入力したか」を会社が説明できないことが、事故対応でも取引先への説明でも、最も痛い点になります。この「説明できない」問題の構造は、シャドーAI対策の記事で詳しく解説しています。

対策の優先順位

以上のパターンを踏まえると、対策の順番は自然に決まります。

1. 業務利用を会社アカウントに集約する

個人アカウントの業務利用をやめ、会社管理のアカウントに寄せます。これだけで、学習設定の統一、認証強度の管理、退職時の整理、履歴の把握という複数の問題に同時に手が届きます。禁止ではなく「会社アカウントなら使ってよい」という公認の形にすることが、定着の条件です。

2. 入力の線引きを決める

入力してよい情報・加工すれば入力してよい情報・入力しない情報を区分し、迷ったときの相談窓口とセットで公開します。作り方はAI利用ルールの記事にまとめています。

3. 記録が残る経路をつくる

ルールが守られているかを確認できるように、AI利用が記録に残る形へ利用を寄せます。会社のネットワーク経由に集めれば、サービスを問わず「誰が・いつ・どのAIを使ったか」を横断的に把握できます。入力内容の検知やマスキングは、その先の段階として検討すれば十分です。

4. 共有機能・新機能の扱いを決めておく

会話の共有リンクや外部連携機能など、「本体の会話」以外の機能は、業務利用の可否を個別に決めます。判断が追いつかない機能は「当面使わない」と明示するほうが、黙認より安全です。

過度に怖がらないために

ここまでリスクを並べましたが、結論は「だから使うべきでない」ではありません。パターン1〜4はいずれも、会社アカウントへの集約と線引き、記録という基本動作で管理可能な範囲に収まります。逆に、禁止して個人アカウント利用に潜られると、すべてのパターンが会社の関与できない場所で起きることになります。

ChatGPTからの情報漏えい対策とは、特別な技術の話ではなく、「会社が関与できる場所でAIを使ってもらう」状態を作る話です。それが整えば、AIは怖がる対象ではなく、安心して業務に組み込める道具になります。

社員のAI利用を、止めずに管理する仕組みを。

AI関所BOXは、ChatGPTなどのAI利用だけをオフィス内の関所へ通し、利用状況・会話・検知を管理するオンプレミス型AIガバナンスBOXです(現在PoC検証中)。導入・PoCのご相談、資料のご請求を受け付けています。